大相撲では、本場所が開催される奇数月以外は、地方巡業を行います。
地方巡業では、全国各地を巡り、花相撲を取ったり、ファンイベントを開催して、地方のファンとの触れ合うことを目的としています。
しかし、実はこの地方巡業は本場所と違ってすべての力士が参加するわけではないようです。
そこで、今回は地方巡業に参加しない力士が、その間に何をしているのかを紹介します。
巡業に出かける力士は、基本的には人気者だけ!
基本的に、地方巡業に参加する力士は、下記の3パターンです。
・関取以上の力士
・初っ切りや相撲甚句などの芸ができる力士
・巡業地のご当所力士などに限られています。
なぜ、巡業に参加する力士を制限しているかというと、その理由は2つあります。
参加人数が多すぎると、管理や移動が大変だから
序の口から横綱まで、すべての相撲部屋の力士は総勢で500~600名ほどおり、さらに親方や行司さん、呼び出しさんや床山さんなどを含めると1000人近くの関係者が移動することになります。
本場所のように一か所で腰を据えるならまだしも、毎日場所を転々とする地方巡業でも1000人規模の大所帯が参加すると、宿泊施設などの確保や荷物の管理が大変です。
また、人数を制限して、コンパクトになることで、今まで行けなかった地域に行きやすくなるなど、フットワークの問題もあります。
なので、巡業に参加する人数は300人前後に絞るようにしているのです。
未成年のトラブル防止のため
2018年の夏巡業からは、未成年の幕下以下の力士や、行事などの裏方は巡業に参加しないことになっています。
過去に巡業では、日馬富士・貴ノ岩のトラブルや、セクハラ事件など、酒席での不祥事が起こりました。
特に巡業では親方の目が届かなくなることも多いため、トラブルが頻発したと考えられています。
そうした過去を反省して、未成年者を酒やたばこなどのトラブルから守るために、巡業に参加させない方針にしたのです。
巡業に出かけない力士はキャンプをする?
巡業に出かけずに、部屋に残る力士のことを「残り番」と呼んでいます。
では、残り番の力士は巡業期間中は何をしているのでしょうか?
基本的には、部屋での稽古や相撲教習所に通うなどの時間にあてているようです。
特に入門したばかりの新弟子は、相撲教習所に通って作法や動きの基礎をみっちりと叩き込む必要がありますからね。
しかし、厳しい親方や関取不在の稽古では締まりがなくなっていまうというもの。
そのため、部屋によっては夏の時期には師匠や後援者のゆかりの地で合宿を行う、通称”キャンプ”を行って、相撲に集中する環境を作ることがあるようです。
海岸近くでキャンプをする部屋もあるようで、気分転換と同時に、相撲に集中できる環境でみっちりと稽古をすることができます。
巡業のように、移動をする楽しみがない代わりに体も楽になるので、ケガを治したり弱点の克服に努めるためにも、キャンプは効果的なのでしょう。
実は親方にも留守番する人がいる?
ちなみに、残り番をするのは力士だけでなく親方にも残り番をする親方がいます。
巡業に参加するのは、巡業に関する部署の親方や審判部に所属している親方がメインで、それ以外の親方は巡業に参加しないのです。
というのも、親方が所属する部署によっては、相撲協会の普段の仕事をこなすために東京に残らざるを得ないためです。
例えば、相撲教習所の担当親方は、本場所期間中以外は力士の教育という大事な仕事があります。
このように、いかにファンサービスイベントの巡業といえど、フルオーケストラでの参加ではない理由としては、至極合理的な理由があるのでした。